医食同源についての考え方最初に、
■ 薬を飲む [ 日本語 ]
■ Take medicine [薬を取る(直訳) ] [ 英語 ]
■ 吃药 [薬を食べる(直訳) ] [ 中国語 ]
■ 약을 먹다 [薬を食べる(直訳) ] [ 韓国語 ] と、各国の薬を摂取するための動詞の違いを記載します。そして、次に医食同源について
「医食同源」は東洋医学ではない「医食同源」や「薬食同源」という言葉は既に人口に
膾炙したもので、至る所で目に付く表現です。
特に食養の世界や健康食品の業界で広く用いられる傾向が
ありますが、本来の東洋医学における医学と食の関係に
ついて古典を元に探索すると、随分おかしな解釈に思えます。
中国最古の医学書である黄帝内経素問の異法方宜論には
次のような記載が見られます。
「へん石(外科手術)は東方より来たり、毒薬(薬草療法)は
西方より来たり、灸は北方より来たり、九鍼(鍼治療)は南方より来たり、
導引按摩は中央より出ずるなり」
つまり
海岸地帯である東方はいうまでもなく魚介類を中心とした食生活であり、
塩分過多になりやすいため、偏勝の気によって“腫れ物”を患い易い。
それを治療するためにこの地方では外科手術が発達した。
山岳地帯である西方は、この地域で育った動植物が食事の中心になり、
人々は鉱物毒を体内に取り入れ易いため、内臓の病気になる人が多い。
その毒を下すために薬草を用いた漢方治療の原型が発達した。
この地域は元来、豊富な薬草が見られる地域であった北方は寒冷地帯であり、野菜が育ちにくいため、いやおうなしに
動物性の食事(乳、肉等)になる。すると内臓が冷え、お腹の張る
病気になりやすい。それを治療するために灸治療が発達した。
寒い地方であり、熱刺激を好んだのだ
南方は高温多湿で、土地も肥沃であるため、穀物も良く実り、動物の内臓も
よく食す。このような食事を続けると血行障害による病気が多くなるため、
経絡を刺激する鍼治療が発達した。
中央の都市部では交易が盛んで、どこからでも食糧が入り、都市部と
いうこともあり、食べすぎ、運動不足が多くなる。それらの問題に
対処するためマッサージが発達した。
という意味です。各地方ではその風土に合わせた偏食を強いられますから、土地の
人々の病気にも、その食生活の傾向に由来した疾病が現れてきます。
それを治療するためにそれぞれの治療が発達したというのが、
黄帝内経素問に見える医学と食の本来の関係といえます。
今日、この言葉が氾濫する原因となったのは、「薬事法」という壁に
阻まれた健康食品業者が、法律をすり抜けて商売するために、
「食も薬も元々は同じ。だから病気を治すには食品
(頭に健康の文字がつきます)が大切」というふうに大々的に
宣伝したことにあるといえます。薬事法のために、効能効果が
表記できないのは業者にとっては悩みの種で、本当に良い製品を
扱っている会社には少し気の毒な気もしますが、東洋医学の思想を
曲解してまで宣伝に使おうとは許されざる学問への冒涜です。
「偏食による病気に応じた治療法の発達」が本来の東洋医学と
食生活との関係なのですから、特定の健康食品の摂取を推奨する
ための文句としては意味が正反対で看過できないものがあります。
もっとも「医食同源」という言葉そのものは、1972年のNHKの
料理番組において新居裕久医師が発表したのが初めのようであり、
ご本人の定義は、まさに今日広まっている意味そのものであって、
定義上はこの言葉を用いた健康食品の販売をするのは問題ないのかも
しれませんが・・・。「薬食同源」という言葉が、古来よりの中国の思想と
解説する人もおられますが、古典とは無縁の、比較的最近になって
造られた造語であり、時折水商売の人間が用いる「医水同源」などと
いうお里の知れる下品な言葉も同様です。「薬食同源」や「医食同源」と
いう言葉が、中国や韓国でも使われているようですが、日本からの
逆輸入であるようで、東洋医学の古医書には見当たりません。
(ご存知の方はご教示下さい)
江戸時代の名医、吉益東洞は、「食とは命を養うものであり、
薬とは病気を治すものである」と言っており、病いを生じさせるのは食に
あるが、病いは食では治せないという意味の言葉も残しておられます。
さて、上記抜粋を読み比べてみると、文法的には東洋医学[漢方]と
医食同源は通じるところがありますが、くわしい方の引用記事に
よりますと、その言葉の語源が日本にあり、東洋医学の観点から
すると、否定的な立場で意見を述べられております。
まあ、確かに食事だけで治せない病気もたくさんありますし、
その逆、たとえば癌患者の方が治療中に、標準治療と並行して
食事を摂取できるかどうかが、根治治療に向けての分かれ目と
なることがあります。
そんな観点から、[医食同源]は時と場合によっては肯定的に
受け入れられる考え方で、100%否定してしまうことには
少し違和感を覚えました。
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posted by beepollen at 20:38|
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